千の種 ☽︎‪︎.*·̩͙‬…2

御巫は 和子に届くようにと
大きな声で 歌をうたいました
しかし 和子は 泣き続けるばかりです
御巫は大神様に伺いました
 私には 和子様の悲しみを
 癒して差し上げる事が
 できないのでしょうか  と
大神様は御巫におっしゃいました
 では 十倍の想いを込めて
 十度(とたび)歌うがよい 
御巫は 和子を想い 歌いましたが
それでも 和子は
泣き続けるばかりです
御巫は もう一度 大神様に伺いました
 和子様の悲しみを
 癒して差し上げるには
 どうしたら良いのでしょうか  と
大神様は御巫におっしゃいました
 では 百倍の想いを込めて 百度歌うがよい 
御巫は やさしく 明るく 楽しくと
和子の微笑む姿を 想いながら歌いましたが
それでも 和子は
微笑んではくれません
御巫は もう一度 大神様に伺いました
 私には
 どうしても無理なのでしょうか・・・ と
声がかすれ 涙ぐむ御巫に
大神様はおっしゃいました
 では 千倍の想いを込めて 千度歌うがよい 
御巫は 和子を想い 地(くに)を想い
大神様を想い 神々を想い 人の子を想い
その歌声が 声にならない声となっても
歌う事を止めようとはしませんでした
しかし 御巫は
千度を 歌いきる事ができず
声を失ってしまいました
和子に 御巫の想いが 届かぬまま
御巫と大神様との約束は 果たせなくなりました
御巫は あまりにも無力な 自分自身に絶望し
悲しみに 打ちひしがれました
高山に登り 崖のふちに平伏し
御巫は 大神様に 願いを奉りました
 私は・・・
 二度と 大神様に頼る事を致しません
 自分自身で悩み 考えながら 御道を行きます
 どんな御陰もいりません
 どんなめぐりも背負います
 何一つ 望みません
 ですから どうか 次の世で 
 和子様を御守りさせて頂く御役だけは
 最後まで努めさせて下さい
 私は 歌うことしかできません
 その御役が努められない 今 
 生命をもって償います

御巫が 身を投げようと
静かに立ち上がった その刹那
あたたかい風が 御巫を包み
静かに去って行きました

大神様はおっしゃいました
 御巫よ その風は 和子の想いであるぞ
 まかぬ種には 花は咲かぬ
 どれだけ失敗しようと
 諦めなかった者だけが
 大輪の花を 愛でる事ができるのであるぞ
 育たぬ種の数が多い程に
 その努力は
 見事に 花 開くのであるぞ
 人の子よ
 その無力なる事を そなたは学んだのである
 さなれば 共に歌い 微笑みあう者を探し
 手を取り合い 助け合い
 神の手足となりて
 地(くに)のめぐり抱き参らせよ
 己の無力さに 打ちひしがれたなれば
 唯 ひたすらに頭を下げ
 人に助けを求め つながり行くがよい
 その 感謝の想いが 地に充ち充つる時
 地の岩戸は開かれ
 必ずや 和子の祈りは 天に届かん


神人達の里より

✷*.。 hi∞mi ☽・:*

真理を、指針とし愛と調和の世界へ

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